東大受験漫画「ドラゴン桜」とは…?
まだ「ドラゴン桜」をご覧になっていない方もおられると思うので、まずは簡単にストーリーを説明しておきます。
舞台は学力レベルの低い生徒ばかりで、経営難の高校。債権整理のためにやって来た弁護士の桜井が、東大合格者を輩出する進学校を目指して、経営の建て直しを図る、というストーリー。随所に勉強のノウハウが散りばめられており、大きな注目を集めている人気漫画です。
コンセプトは素晴らしい
私はこの漫画の存在は以前から知っていたのですが、全く読んだことがありませんでした。そしてやっと忙しい合間を縫って刊行されている全巻を読みきりました。
率直に、漫画にしてはかなり良く出来ていると感じました。私もメルマガで以前から言っていることですが、東大は世間一般が思っているほど難しいものではないということや、東大に入っておくことの重要さなどを、とても分かり易く説いているという点で、是非、受験生の皆さんにも読んでおいていただきたい本です。
抜け落ちていること
著者の方が実際に東大受験したわけではない割に、かなり良く書けているとは思うものの、その辺の勉強術の本に書いてあるオイシイところを面白くストーリーに仕立てただけのような感じを受けます。確かに、勉強に対して苦手意識を持つ子供に勉強をするきっかけを与える方法論は、とても役に立つと思いますし、私も勉強になりました。しかし、その後のことが完全に抜け落ちています。肝心の問題の解き方を学ぶ方法論が示されていません。特に国語や数学なんかは、完全にストーリー上、放置されていますし、勉強方法が漠然としすぎて、ハッキリ言って、あんなのでは東大になんか合格する力が付くわけがないです。
あくまでフィクションにすぎない
もし、実際に漫画のような設定が現実にあって、その通りに実行したのなら、本当に東大に合格できるのか?…私の答えは「No」です。ハッキリ言って基礎も全くできていないような生徒がたった1年の勉強で合格できるほど、東大は甘いものではないし、そもそもあの漫画の戦略は決してベストではありません。私ならもっと違う戦略を使います。ちなみにこんな戦略です。また、和田秀樹氏が東大向けのこんな受験術の本を出しています。ドラゴン桜よりも100倍役に立つでしょう。
漫画の中のどの戦略が間違っているのか?
まず、理科I類を目指すというところ。私なら理科II類を目指すよう指導します。理由は簡単。理科I類よりも若干合格最低点が低いから(近年はあまり差は無くなってきていますが)。桜木が言う理由は、定員が1000人もあって多いから、ということらしいですが、そんなことは理由になりません。理科II類だって500人もの定員があるのですから。定員の数や倍率だけで志望大学・学部を選んではいけません。
次に、理系を受験するくせに、センター試験の社会を2科目受験すること。しかも、世界史と現代社会って。アホかって感じですね。そもそも東大ではセンターの成績は重視されないので、2科目を受験しておいて、いい点数で出願する必要なんてありません。1科目で十分です。しかも、センター試験のためだけに世界史をやるなど、愚の骨頂。現代社会も戦略的にイマイチです。倫理か政治経済、もしくは地理をやるべき。
最後に、理科で物理と地学を選んでいること。確かに、この2科目で受験すると最も高得点を取れるということは、東大受験生の中ではいわば常識ではあります。しかし、それは相当デキる人の場合であって、一から勉強する人の場合は決して得策とは言えないと思います。近くに地学の入試問題を深く理解した指導者がいればいいかもしれませんが、そもそも地学の参考書・問題集は非常に少なく、かなりリスキーであると言えます。可能な限り、「物理・化学」で受験すべきです。また、物理と化学をやっていないと、大学に入ってから、間違いなく死ぬほど苦労します。特に化学をやらないのはヤバイです。東大の授業をナメてはいけません。物理や生物を受験していない人への配慮はありますが、化学は全員が受験しているという前提で教養課程のカリキュラムが組まれています。
私の結論
漫画であるがゆえ、非常にわかりやすい本であるため、自分も出来そうな気になってしまいますが、所詮はフィクション。手前味噌になりますが、私が公立高校を中退して独学だけで東大に入った話や、私の教え子が6ヶ月の勉強だけで東大に合格した話は現実に即しているし、ノンフィクションです。「ドラゴン桜」から学ぶべきことはたくさんありますが、あくまで参考程度にしておきましょう。